「パナマ文書」がなぜ大騒ぎ?タックスヘイブンの問題点を解説

数年前「パナマ文書」という言葉が、日本を含め世界のニュースになりました。簡単に言うと、パナマの法律事務所が作成した世界の企業や個人によるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態が記載された文書です。しかし、この文書がきっかけで、当時のアイスランドのグンロイグソン首相は辞任に追い込まれるなど、各国で富裕層の租税回避を追及する動きが加速しました。今回は、タックスヘイブンについて、改めて振り返ってみましょう。

なぜ、企業や富裕層はタックスヘイブンを使うの?

タックスヘイブンとは、国際金融取引を円滑に行うため、法人税などの税金の一部が完全に免除される国や地域のことを指します。日本語では租税回避地と言います。有名なところでは、パナマ、バージン諸島、ナウルなどがこれにあたるでしょう。

タックスヘイブンを租税回避のために使う仕組みは、簡単に言うと「タックスヘイブンに会社を設立し、その会社を通じて税務申告を行えば、法人税などの税金がただになる」ということです。

会社を設立するといっても、現地に事務所を置くわけではなく、専用の私書箱を置いて済ませ、その管理も代行業者に任せる場合がほとんどでしょう。まさに「租税回避だけのためにタックスヘイブンに実体のない会社=ペーパーカンパニーを設立する」と言って過言ではありません。

つまり、企業や富裕層は、毎年支払う税金を節約するために、タックスヘイブンを使って租税回避を行う場合もあると考えましょう。

タックスヘイブンの何が問題なの?

そもそも、タックスヘイブンができたのは「世界中から企業に進出してもらうため」でした。パナマ、ケイマン諸島、ナウルなどタックスヘイブンとして知られる国・地域は、もともと「産業や資源のない国」である場合が多いです。そのような地域で産業を盛り立てるためには、海外の企業に自分たちの国・地域でビジネスをしてもらうしかありません。そのための方法の一環として、税金を免除し、海外の企業が進出しやすくしたのです。

しかし、海外の企業が進出しやすくなった一方、別の弊害が生まれました。マネーロンダリングに悪用されるようになったのです。マネーロンダリング(資金洗浄)とは「麻薬・覚醒剤の密売、詐欺など犯罪行為により稼得した資金を架空または他人名義の金融機関口座などを利用し、転々と送金を繰り返したり、株や債券を購入したりするなどして資金の出所をわからなくする」ことをいいます。

タックスヘイブンに設立されたペーパーカンパニーに関しては、情報が開示されてない場合がほとんどです。そのため、司法当局の監視もかいくぐりやすいことから、マネーロンダリングに悪用されているのが実情でしょう。

もちろん、タックスヘイブン自体は違法なものではありません。また、日本も含めた世界各国の企業・富裕層が使う分にも、自国で正しく納税さえしていれば何ら問題はありません。

ただし、情報が開示されておらず、犯罪の温床にもなりやすいことから、タックスヘイブンに指定されている地域の監視は注意深く行っていく必要があります。

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