【要活用】被災地の企業必見!災害時に使える税制上のフォロー

災害のために納税できない場合はどうすべき?

世界的に見て、日本の災害の多さはトップクラスです。2011年3月に発生した東日本大震災や2018年7月に発生した広島市の豪雨災害など、日常生活はもちろん、企業活動にも影響を及ぼす激甚災害も少なくありません。2022年9月に発生した台風15号による静岡県の豪雨災害も記憶に新しいところです。このような災害が原因で損失を受けた場合は、税制上の優遇策が利用できます。いくつか紹介しましょう。

まず、全積極財産(財産から負債などを除外した額)のおおむね20%以上の損失を受けた場合は、納税の猶予が受けられます。「災害等により被害を受けたことにつき、一時に納付することができないと認められる国税」です。所得税、法人税、相続税、贈与税、給与の源泉所得税、消費税など、納める予定だった国税なら認められる可能性があるので、事前に確認しましょう。

猶予期間は原則として1年以内です。ただし、損害が深刻な場合など、やむを得ない理由があればすでに認められている猶予期間と合わせて2年を超えない範囲内で、猶予期間の延長が受けられます。最大で3年間まで猶予を受けられると考えましょう。

なお、この制度を利用するためには、原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保を提供しなくてはいけません。猶予期間が3カ月以内もしくは猶予金額が100万円以下の場合に加え、特別の事情がある場合も不要になる仕組みです。担保の提供が難しい場合も、一度相談してみるのをおすすめします。

その他の利用できそうな制度も押さえておこう

一度災害が起きると、商品や店舗に損害が生じるので、それを修繕しなくてはいけません。

これらは損失や経費として計上できます。

また、災害による損失を計上した結果として損金(赤字)が発生した場合は、発生した事業年度から10年間にわたって繰越控除が可能です。

加えて、災害特別損失勘定も利用できます。簡単にいうと、災害にかかる支出を前倒しで負債として計上する引当金のようなものと考えましょう。ただし、利用するにあたっては、災害損失特別勘定に関する明細書 を添付しなくてはいけません。

従業員に当座の生活費として災害見舞金を渡すことも、精神的・金銭的なフォローとしては有効です。この場合、以下の条件を満たせば災害見舞金を福利厚生費として扱えます。

  • 被災した全従業員に対して被災した程度に応じて支給されていること
  • 金額が受け手の従業員の社会的地位に合わせた見舞金と社会通念上妥当であること

日本に住んでいる限り、災害にまったく遭わない可能性は低いです。「災害はいつか起きるもの」と考え、普段から入念に準備しましょう。仮に起きてしまった場合でも、今回紹介した税金上の負担を和らげられる制度も上手に活用してください。


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