会社を廃業するときの事業年度の扱い。会社の種類次第なので要注意!

会社を廃業するときの事業年度は?

どんな会社であっても、長続きすればそれに越したことはありません。しかし、2018年度時点での廃業率は3.5%となっていることからもわかるように、一定数の会社は廃業に追い込まれています。

参照:中小企業庁「2020年 小規模企業白書(HTML版)」

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b1_3_1.html

特に、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響で、事業の先行きが不透明になりがちです。

安定した収益を得られる見込みがなければ、一度会社を清算し、次の手を考えるのも1つのやり方でしょう。

さて、会社を廃業する流れになった場合でも、税務申告はしなくてはいけません。本来、税務申告は事業年度が開始した日から終了した日の1年間について行います。しかし、会社を廃業する=解散、清算することになった場合は、その会社の種類によっても扱いが異なるため注意しましょう。

まず、株式会社の場合は以下の通りです。

  • 解散事業年度:本来の事業年度開始の日から解散の日まで
  • 清算事業年度:解散日の翌日から1年ごと

※その他、清算事業年度の途中で残余財産が確定した場合は、その事業年度開始の日から残余財産の確定日までが、1つの事業年度として扱われる

一方、合名会社、合同会社、協同組合など、株式会社以外のケースでは以下のように扱われます。

  • 解散事業年度:本来の事業年度開始の日から解散の日まで
  • 清算事業年度:解散の日の翌日から定款で定めた事業年度終了の日

具体例で考えてみよう

説明だけだとわかりにくいので、具体例を用いて考えてみましょう。事業年度開始の日が4月1日、終了の日が翌年の3月31日という株式会社があったとします。この会社がある年の9月30日で解散することになりました。さらに翌年の6月30日には、残余財産確定日を迎えています。

この場合、解散事業年度、清算事業年度、残余財産確定事業年度は以下の通りです。

  • 解散事業年度:4月1日から9月30日まで
  • 清算事業年度:10月1日から翌年の9月30日まで
  • 残余財産確定事業年度:10月1日から翌年の6月30日まで

一方、この会社が合同会社だった場合、扱いが変わります。

  • 解散事業年度:4月1日から9月30日まで
  • 清算事業年度:10月1日から翌年の3月31日まで

なお、実際に会社を清算する場合は、弁護士や税理士などの専門家に必ず相談しましょう。

これまでにしてきた取引を無責任に終わらせてしまうと、思わぬところで損害賠償を請求される恐れがあります。従業員を雇っていた場合は、解雇することになるため、事前に話をし、理解を得るのが不可欠です。決して、自分ひとりだけで勝手な判断はしないのをおすすめします。

※参考にしたWebサイト※

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/070313/02.htm

http://contents.aokikaikei.or.jp/view.php?page=news-contents_7456

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