税務調査=脱税ではありません。本当のところを解説します

あの映画が思い浮かぶ人もいるはず

いきなりですが、あなたは「税務調査」と聞いて、どんな絵を思い浮かべますか?スーツの人がたくさんやってきて、ゴミを調べたり、朝から聞き込みをしたり、床の下に隠していた金塊を取り出したり……それは、映画の見過ぎです。

故・伊丹十三氏が監督した「マルサの女」という映画があります。この映画は税務調査を描いたものですが、正確には強制調査(査察調査)といって、巨額で悪質な脱税を摘発するために行うものです。強制調査により脱税が確定されれば、検察庁に告発され、刑事事件として処理されます。つまり「脱税で逮捕される=強制調査の結果、脱税が確定される」と考えていいでしょう。

そして、強制調査を行う部署として、国税庁には査察部が設けられています。査察部の通称が「マルサ」と呼ばれているので、「査察部=マルサで働く女性の話」を意味するタイトルがつけられました。

なお、国税庁のホームページによれば、平成30年度の査察事案として告発が行われた事案は121件だったとのことです。このうち、重点事案として告発された=大規模な脱税として告発された件数は、消費税受還付事案16件、無申告ほ脱事案18件、国際事案20件とのことでした。また、告発された事案にかかる脱税分は112億円にのぼります。

基本は「任意調査」。任意だけど断れないので注意

データから見ても、ほとんどの人には強制調査は縁がないと考えていいでしょう。しかし、後ろ暗いことをしていなくても、税務調査は行われるのです。

任意調査といって、犯罪を前提にしないで行う税務調査がこれに当たります。「任意ということは、答えたくなければ答えないでいいのでは?」と思うかもしれませんが、そうでもありません。

たしかに、任意調査は、納税者の同意を得て行うのが前提です。しかし、税務署員には「質問検査権」があります。つまり、必要に応じて調査対象者の事業に関する書類の検査・提示・提出を求めることができるのです。

結論から言うと、任意調査であっても、基本的に断れないものと考えてください。

実際には、税務調査を行う場合は、事前に所轄の税務署から税務調査を行う旨および日程が通知されます。その日程で都合がつかない場合は、変更を申し出ることもできるので大丈夫です。

連絡があった時点で顧問税理士に連絡し、準備すべきものや当日の流れを相談しましょう。しかし、顧問税理士自体がいない場合は、新たに税理士にサポートしてもらうよう頼むのをお勧めします。税務調査まで時間がなくても、スポット契約の形で税務調査に立ち会ってくれる税理士も中にはいるので、あきらめずに探すことが必要です。

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