これからの経営は効率化と生産性向上がカギに。DX投資促進税制を上手に使おう
DX化と言ってもお金がかかります
最近、注目されている言葉の1つに「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」があります。本来は、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を指す言葉です。しかし、会社経営との関連においては「ITを活用して、業務の効率化や生産性の向上を図ること」という意味合いで使われることが多いようです。
2020年初頭から世界中で流行している新型コロナウイルス感染症の影響や、いわゆる「働き方改革」の流れもあり、DXに注目する企業は多くなっています。しかし、何をやるかにもよりますが、ある程度はまとまった金額の投資が必要になるのが実情です。安い買い物とは言い難いために「いかにして、会社としての出費を抑えつつ、期待する効果が上がる設備を導入するか」がカギになります。
やはり、本気で取り組もうと思ったら、専門のコンサルティング会社に相談し「自分たちのビジネスにおいて、業務の効率化・生産性の向上を達成するためには、何をすれば良いのか」を洗い出すことが必要です。
DX投資促進税制をうまく使おう
また、本気で取り組むなら「使える補助金や制度はないか」にも目を向けましょう。DX化を検討中ならDX投資促進税制も役に立つはずです。簡単に言うと「一定の条件を満たす対象設備を導入した場合は、税額控除(3%または5%)ないし特別償却(30%)を講じることができる」という税金上の優遇政策です。
令和3年税制改正において、クラウド技術の活用、セキュリティの強化、レガシーシステムからの脱却などを目的として定められました。なお、適用期限は2023年3月31日までとされています。なお、投資額の下限は売上高比の0.1%以上、上限は300億円です。また「カーボンニュートラル投資促進税制」も併用する場合、税額控除の上限が当期法人税額の20%までになるので注意してください。
また、この税制を使える投資になるかどうかの要件(認定要件)には、大きく分けて「デジタル(D)要件」と「企業変革(X)要件」があります。前者をさらに細分化すると、1)データ連携・共有、2)クラウド技術の活用、3)「DX認定」の取得の3つが求められると考えましょう。一方、後者は、1)会社の意思決定に基づく、2)一定以上の生産性向上などが見込まれるという2つの要件を満たすこと、と考えるとわかりやすいはずです。
なお、実際にこの税制の適用を受けるためには、産業競争力強化法に基づいた「事業適応計画」を主務大臣に提出し、その内容が認定要件を満たしているかの審査を受けないといけません。コンサルティング会社に相談することはもちろん、早いうちから税理士とも連携を取り「いつ、何をすれば良いか」を考えて動きましょう。